先発投手として研鑽を積んでいた西純矢と富田を「1軍の敗戦処理要員」として消費するのはおかしい

 岡田監督の不味い投手起用は今年に始まったことではありませんが、2024年シーズンは「『将来のエース』と期待される若手有望株の起用方法」の不味さが際立っています。

 ファームで先発調整していた門別、富田、及川、西純矢が『中継ぎ』として1軍に招集されたのです。

 先発と中継ぎでは要求される投球内容が異なりますし、敗戦処理で『ファームでは先発調整をしていた若手有望株』を使う意味はありません。早急に起用方法を改めるべきでしょう。

 

西純矢と富田に『1軍での敗戦処理』をさせる起用方法は本人とチームのためにならない

 西純矢と富田が2024年6月に記録した登板成績は下表のとおりです。

表:西純矢と富田の投球成績(2024年6月)
投球回
(球数)
失点 被安打
(与四死球)
奪三振
6/1:ロ 1.2回(22球) 1 2 (2) 0
6/12:オ 2回(25球) 0 (1) 0
6/22:De 1回(11球) 0 0 0
西純矢:計 4.2回(58球) 1 2 (3) 0
投球回
(球数)
失点 被安打
(与四死球)
奪三振
6/6:楽 2回(24球) 0 0 1
6/15:ソ 0.2回(11球) 0 1 0
富田:計 2.2回(35球) 0 1 1

 岡田監督が両投手に与えた役割は敗戦処理。2人合わせても「1カードに1登板」であり、“ファームで先発調整をしていた投手” を無駄にしていることは明らかです。

 よって、少なくともどちらの投手はファームで先発調整に戻すべきでしょう。その方がチーム全体にとってのメリットは大きくなるからです。

 

先発と中継ぎでは「結果を残すために要求される条件」が別物

 先発投手は相手チームの打者と複数回対戦しないことには “要求された結果” を出すことができません。そのため、『スタミナ』と『その日の球筋を記憶されても抑えられる投球術』が必須です。

 一方で中継ぎ投手は同じ打者と何度も対戦することは稀です。したがって、『150km/h 前後のストレート』と『空振りを取れる変化球』の2球種があれば継続して結果を残すことは可能です。

 ところが、岡田監督が1軍に昇格させた西純矢と富田はファームで先発調整をしていた際に『中継ぎ投手としての成功要件』を満たす投球内容を示していません。

 西純矢は『球速帯の異なる変化球』を駆使することで「変化球で簡単にカウントを作れる投球フォーム固め」をしていた段階。ストレートの球速が 150km/h 前後に戻るのは “次の段階” だったことでしょう。

 富田は「ストレートの平均球速が 140km/h 超」にするための身体作りの段階。

 両投手ともに「1軍で登板させることは可能」であっても「敗戦処理要員として1軍で1週間に1度の登板機会を与えても成長を阻害するだけ」の状態です。この判断を見誤ったことはチーム全体にとって痛すぎます。

 

「ファームの公式戦に必要となる投手数が少なくなること」のメリットは大きい

 少なくとも、現時点での阪神タイガースで西純矢と富田の2投手を「1軍での敗戦投手要員」として扱うメリットはありません。ファームで先発調整をさせた方が “チーム全体のメリット” が大きくなるからです。

  1. 1軍の敗戦処理要員が “先発型の投手” である必要はない
    • 中継ぎ調整をしている投手の「調整登板」や「抜擢」で役割は容易に担える
  2. ファームの公式戦に必要となる投手数が減る
    • 西純矢と富田の2人は「先発投手として成功するための課題の克服」に臨める
    • 他の投手に「ミニキャンプ」や「身体作り」の時間的猶予を与えられる
  3. 1軍の先発投手陣に「不甲斐ない投球をすれば入れ替えられる」との緊張感が生まれる

 西純矢と富田の2投手が「1軍ローテーション入りを狙ってファームで先発調整」をしてくれると、“状態を崩している2軍の投手” が「投げれるから」との理由で登板を強いられる状況を回避することができます。

 “投球のメカニックが崩れている投手” は「ノースローを含むミニキャンプ状態」で再調整をさせないことには復活しないでしょう。

 それに手遅れになってから『ミニキャンプ』をするより、手遅れになる前に『プチキャンプ』で復活させた方が良いに決まっているからです。