編成面の理由で生じた穴をドラフト指名で補填に成功した2023年の阪神タイガース

 2023年のドラフト会議が終了し、阪神は支配下登録で投手4人・野手2人の交渉権を獲得しました。

 岡田監督には “暗黒ドラフト” の強い懸念があったのですが、「チームの将来を見据えた的確な指名が行われた」と評価されるべきでしょう。

 

2000年から2002年生まれの右投手が西純矢しかいない投手陣

 まず、2023年の阪神タイガースは「2000年から2022年までに生まれた右投手が西純矢しかいない」という “編成面での偏り” がありました。

表: 阪神の若手投手陣
先発陣 ブルペン陣
左投げ 右投げ 左投げ 右投げ
桐敷 24歳
('99年生)
(桐敷) 湯浅
育:伊藤稜 岡留
育:松原
鈴木 23歳
育:川原
及川 西純矢 22歳
('01年生)
富田 石黒 (石黒)
津田 (津田)
下村 21歳
椎葉 (椎葉)
森木 20歳
門別 茨木 19歳

 一方で左投手は早生まれの鈴木勇人や育成の川原を加えて4人が在籍。今年のドラフト会議で「大卒または社会人卒の右投手」が獲得候補になるのは自然な流れです。

 投手運用では岡田監督が『ファームの先発ローテション投手』に『1軍の中継ぎ投手』として白羽の矢を立てたことで「ファームでイニングを投げれる(先発型の)投手が不足する事態」に見舞われていました。

 そのため、“先発と中継ぎのどちらでも適性があると見込んだ投手” を指名するドラフト戦略は的確と評されるべきでしょう。

 

北條と山本に来季構想外を告げたことで「左打ちの選手が大多数になっていた二遊間」

 野手に関しては「右投げ右打ちの北條史也と山本泰寛」が来季構想外を告げられていたため、二遊間を守れる選手は左打ちがほとんどでした。

 「二遊間 “からの” コンバート」と「二遊間 “への” コンバート」では前者は可能性はありますが、後者はまず不可能です。

 二遊間を守れる右打ちの若手選手は戸井零士(天理高・'22年ドラ5)だけでしたし、山田脩也(仙台育英高)と百﨑蒼生(東海大熊本星翔高)の2人を獲得できたことは編成面を考えても大きいと言えるでしょう。

 山田は戸井と同様に SS/2B での育成を試みる形式が採られ、長打力の備わっていると期待される百﨑は SS/3B と「打撃力を買ってのコンバート」を視野に入れた育成方針になるでしょう。

 外野手に関しては2023年のファームで打率 .303 (198-60) ・ OPS .785 を記録した野口恭佑('22年育成ドラ1)を支配下登録に切り替えることで補填する形になると思います。