2024年シーズンが3年契約の3年目となる梅野は「自分が “茹でガエル” の状態」と認識していないと厳しい

 複数年契約を締結している阪神の梅野が現状維持の推定1億6000万円で契約を更新し、来季に向けた意気込みを語ったとデイリースポーツが報じています。

 チームに対する論評は野手最年長者の発言として的確なものですが、梅野自身に対する抱負は「見通しの甘さ」を指摘せざるを得ないでしょう。

 梅野は2024年シーズンが3年契約の3年目。今シーズンを含む過去2年は「契約内容と成績の費用対効果が見合っていない」からです。

 

“打てる捕手” も30代を迎えると打撃面での貢献が難しくなる

 梅野にとって厳しいのは「セ・リーグに在籍する “打てる捕手” も30代に入ると打撃成績が下降線に入る」という現実でしょう。

表: 打撃型捕手が記録した OPS
梅野
【阪神】
木下
【中日】
中村
【ヤク】
會澤
【広島】
35歳 .492
34歳 .548
33歳 .622 .686
('21年)
32歳 .514
('23年)
.658 .695 .774
31歳 .581
('22年)
.630 .718
('21年)
.826
30歳 .603
('21年)
.748
('21年)
.456 .893
29歳 .723 .705 .757 .729

 梅野は2021年のオフに3年契約を締結。2021年シーズンまでの打撃力・ブロッキング能力・FA 取得を加味した好条件で阪神に残留しました。

 ところが、複数年契約を締結した2022年シーズンから2年連続で打撃不振に直面。同世代の木下(中日)や中村(ヤクルト)に水をあけられています。

 また、長所であった打撃面だけなく守備面において坂本誠志郎に遅れを取ったことも大きなマイナス要素です。

 

“相手に先行されやすい上に逆転にも持ち込めない捕手” は評価されない

 現代野球では各チームともに『勝ちパターンの継投』を確立させているため、先手を取った方が勝利に近づきます。

 2023年シーズンの阪神タイガースは梅野がスタメンマスクだと6試合中3試合で先制しますが、坂本の場合だと6試合中4試合で先制。

 また、相手に先制された場合でも勝率は “坂本の方が” 梅野を1割弱もシーズンを通してコンスタントに上回り続ける成績でした。

  • 梅野がスタメンマスク時
    • 勝率: .557 (34W - 27L)
    • 先制を許す確率: 51.6%
    • 先制を許した際の勝率: .375 (12W - 20L)
  • 坂本がスタメンマスク時
    • 勝率: .685 (50W - 23L)
    • 先制を許す確率: 32%
    • 先制を許した際の勝率: .458 (11W - 13L)

 この状況で「2024年シーズンの正捕手も梅野」と明言されることは “普通は” ないしょう。成績で劣る選手に『レギュラー手形』を与えてしまうと「チーム凋落の引き金」になってしまうからです。

 

 ちなみに、2024年シーズンは「坂本誠志郎が FA 権を獲得」し、「梅野隆太郎は3年契約の3年目」というシーズンです。

 編成面での岐路を迎えるため、球団としてどう判断するのかが注目点になると思います。