1軍と2軍で “有望な若手捕手が出場機会を得られない選手起用” をしている阪神が高校生捕手をドラフト指名するのは論外

 デイリースポーツが「2023年のドラフトでは高校生捕手を指名して常勝軍団の構築や」と怪気炎を上げています。

 これほど無責任な記事はないでしょう。なぜなら、岡田1軍監督および和田2軍監督は “有望な若手捕手” の出場機会を損ねる選手起用をしているからです。

 将来有望と目される捕手をドラフトで指名する前に「支配下にいる有望な若手捕手が1軍や2軍で適切に出場機会を与える起用方法」をすべきでしょう。

 

1軍では絶不調の梅野が第3捕手の出場機会に蓋

 まず、1軍では岡田監督が “次世代の正捕手候補が担当することが多い)第3捕手” が手にするべき出場機会を32歳の梅野に付与し続けました。

表: 阪神捕手陣の成績(2023年)
1軍 2軍
Ave OPS Ave OPS
梅野 隆太郎
【32歳・右打ち】
.194
(217-42)
.514
坂本 誠志郎
【29歳・右打ち】
.226
(243-55)
.543
長坂 拳弥
【29歳・右打ち】
.222
(9-2)
.444 .172
(58-10)
.434
榮枝 裕貴
【25歳・右打ち】
.333
(3-1)
.667 .240
(129-31)
.658

 打撃と強肩が強みの梅野ですが、2023年シーズンは打率と盗塁阻止率がどちらも1割台。週半分以上の試合で先発フル出場するに値しない成績でした。

 普通は “榮枝のような次世代の正捕手候補” に(先発投手が KO されて大差が付いた試合などで)第3捕手としてマスクを被る機会が与えられるでしょう。

 それが全くなかったのです。このような起用方法で「『育成』を重視している」と主張するのは明らかに無理があります。

 

“2軍強化指定選手” の中川勇人が150打席しか得れていない

 次に、和田2軍監督も岡田監督と負けず劣らず若手捕手の出場機会に蓋をする選手起用をしています。

表: 阪神捕手陣の成績(2023年)
1軍 2軍
Ave OPS Ave OPS
長坂 拳弥
【29歳・右打ち】
.222
(9-2)
.444 .172
(58-10)
.434
片山 雄哉
【29歳・左打ち】
.288
(163-47)
.741
榮枝 裕貴
【25歳・右打ち】
.333
(3-1)
.667 .240
(129-31)
.658
藤田 健斗
【21歳・右打ち】
.212
(85-18)
.531
中川 勇斗
【19歳・右打ち】
.265
(132-35)
.744

 阪神はルーキーイヤーの2022年シーズンに103打席で打率 .295 (88-26) を記録した高卒2年目の中川勇人を “2軍強化指定選手” に指名したのですが、今季の2軍で与えられた打席数は(DHでの起用も含めて)150でした。

 故障やスランプで満足な稼働ができなかったのなら分かります。しかし、実際はそうではなかったのです。

 “2軍で結果を残せていない中堅捕手” の方が “2軍強化指定選手の高卒2年目捕手” よりも優先して起用されるのは『年功序列』ですし、「実力主義のプロ野球では不健全」と言わざるを得ないでしょう。

 

 1軍と2軍が連携して「有望な若手捕手の出場機会に蓋をしている」のです。このチーム状況を改善することが最優先であり、それが改善されない状況で有望な高校生捕手を獲得できても宝の持ち腐れになるだけです。

 すでに榮枝や中川を持ち腐れの状態にしているのですから、デイリースポーツがすべきことは「若手有望株に出場機会をちゃんと与えろ」と阪神首脳陣の選手起用に苦言を呈することだと思います。