“坂本誠志郎と組んで防御率 1.17・WHIP 0.91・奪三振率 11.74 のケラー” に巨人の投手として恩返しをされると目も当てれない

 巨人は2023年シーズンまで阪神に在籍していたカイル・ケラーを獲得したと発表しました。

 阪神にとっては痛手と言わざるを得ないでしょう。“坂本誠志郎とバッテリーを組んだ時のケラー” は打者を全く寄せ付けない投球で圧倒していたからです。

 ケラーが巨人に移籍する理由になった最大の要因は「岡田監督の起用方法」と言わざるを得ないため、強烈な恩返しをされないよう願うしかない状況です。

 

坂本誠志郎と組んだ際の被 OPS が 0.313 という圧倒的な数値を残していたケラー

 2023年シーズンのカイル・ケラーは「印象と成績が大きく乖離した投手」でした。その原因は捕手別の投球内容が違いすぎたことにあります。

 坂本誠志郎とのバッテリーを組んだ際のケラーは防御率が 1.17。1イニングあたりの走者数を示す WHIP は 0.91 で被 OPS は 0.313。奪三振率は 11.74 と圧倒的な数字を残しました。

表:坂本誠志郎と組んだ時のケラーの投球成績
投球回
(球数)
失点 被安打
(与四死球)
奪三振
4/28:ヤ 1回(11球) 0 0 2
5/9:ヤ 1回(11球) 0 0 (2) 0
5/13:De 1回(19球) 0 0 (2) 1
5/23:ヤ 0.2回(25球) 1 2 (1) 1
6/1:西 1回(15球) 0 0 2
6/13:オ 1回(11球) 0 0 1
7/16:中 1回(11球) 0 0 2
8/5:De 1回(8球) 0 0 1
合計 7.2回 1 2 (5) 10

 しかも、打たれたヒットは “土砂降りの神宮” で5月23日に許した単打2本だけです。

 ただ、(岡田監督が正捕手指名した)梅野との相性が悪かったことで各項目の成績が悪化。「登板するたびに走者を背負う苦しい投球をしている」との印象を周囲に持たれることになったのです。

 坂本誠志郎がマスクを被っている時にケラーを積極的に登板させることで中継ぎ投手陣の疲弊を分散できた訳ですから、ケラーの流出は「岡田監督(の采配)と球団の責任」と言わざるを得ません。

 

ケラーは “阿部慎之助新監督の要求” を体現している投手

 巨人がケラーを獲得した理由の1つは「阿部慎之助監督が要求する『ど真ん中指令』を体現した上で相手打者を抑えている実績がある投手だから」でしょう。

 厳しいコースを意識しすぎて腕の振りが弱くなれば、球威、制球ともに精度が下がる。それならば、打てるもんなら打ってみろ、ぐらいの気概で投げ込む方がいい。

 ケラーの武器は「リーグで5本の指に入る空振り率(13.4%)を記録するストレート」。捕手が「そのストレートをホームベース上に投げ切るように要求できるか」がポイントであることは明らかでしょう。

 『ホームベース上での勝負』がケラーの力を存分に発揮するための条件だからです。

 

 巨人にとってはケラー獲得で「ドラ1の西舘勇陽を先発で起用」することが可能となりました。先発投手の方が WAR (Wins Above Replacement) による貢献度を稼げるため、編成的にも大きな補強になると予想されます。

 一方で阪神は「ブルペン陣を酷使した反動を上手く緩和できるか」が鍵でしょう。「巨人のカイル・ケラーが岡田監督や球団首脳に強烈な恩返しをするのか」も注目点になると思います。