優勝争いの最中に梅野が死球骨折で今季絶望の離脱を強いられたことは岡田監督にとって大痛手

 阪神は8月13日のヤクルト戦(19回戦)にも勝利し、10連勝と快進撃を続けています。

 ただ、5回裏の打席で今野から左手首に死球を受けた梅野の骨折。シーズン絶望が有力となったことから岡田監督は怒りを噛み殺したコメントを試合後に残しています。

 今季の岡田監督は『捕手2人制』で乗り切ろうとしていただけに腑が煮え繰り返っていることは確かでしょう。

 

先発捕手に代打・代走を送った後にマスクを被れるキャッチャーは2人しかいなかった

 今年の梅野は打撃不振で「正捕手としての貢献度」が不十分だったことは否めません。

 特に前半戦は自らの打撃成績・バッテリーを組んだ投手の防御率・チームの勝率が低下する “三重苦” に見舞われていたからです。

 ただ、先発捕手に試合終盤で代打や代走を送って勝負に出た後にマスクを被ることを託せるキャッチャーが梅野と坂本の2人しかいなかったことも事実です。

 だから、「(梅野や坂本が予期せぬ離脱を強いられた時に備えて)信頼できる3人目の捕手を作るために『捕手3人制』を採り入れて運用すべき」との声が(一部で)あったのです。

 そうした声を聞き入れず『捕手2人制』で乗り切ろうとした “判断の責任” は岡田監督が負わなければならないでしょう。

 

梅野が絶不調だった序盤戦で第3捕手を起用する際の形作りをしておくべきだった

 岡田監督は梅野を正捕手に指名したため、“不調で明らかにチームの足を引っ張っていた梅野” を主力選手として庇護下に置いていました。この判断が不味かったと言わざるを得ません。

  • 岡田監督がすべきだった捕手の運用
    1. 梅野(正捕手待遇): 最低でも週2試合で先発マスク
    2. 坂本:最大で週3試合
    3. 第3捕手(長坂 or 榮枝):最大で週1試合

 「先を見据えて第3捕手にチャンスを与えることも必要やからな」と岡田監督が記者に語って上述の運用をしていれば、正捕手論争は棚上げにした状態で第3捕手に一定の出場機会を与えることができたでしょう。

 “経験が少ない第3捕手” は試合中に代打を送られる確率が高くなるため、代打が送られた後に梅野にマスクを被らせれば梅野の出場機会は確保できます。

 この形をシーズンの前半戦で作っておかなかったことは「岡田監督の落ち度」と言われても仕方ないでしょう。梅野と坂本が特例抹消の対象となって1軍で起用できない不測の事態に見舞われる可能性はあったからです。

 

 「梅野しかいない状況」でも「坂本しかいない状況」でも痛手であることに変わりありません。それだけに岡田監督のコメントに怒りが滲むのは当然ですし、9月初旬のヤクルト戦が不穏な空気の中で行われることになるでしょう。