「若手の成長を阻害する『中堅・ベテラン・助っ人勢の偏重起用』は慎まなければならない」との訓示ができない杉山オーナーは終わってる

 安芸キャンプを訪問した杉山オーナーが「もっと強くならないといけない」との訓示を選手に述べたとデイリースポーツが報じています。

 この訓示ほど無意味なものはないでしょう。

 2023年の阪神タイガースは1軍と2軍の双方で中堅・ベテラン勢や助っ人選手が偏重起用されており、若手選手は蓋をされていた状態だったからです。

 そのことに “オーナーとして” 苦言を呈さない時点で「若手選手の成長」は意味をなさないものになってしまうでしょう。

 

阪神の2024年シーズンに向けた “伸び代” は「まともな選手起用」

 阪神が持つ2024年シーズンに向けた “伸び代” は「若手の成長」ではなく「首脳陣のまともな選手起用」です。

  • 2022年オフの時点で『キャッチャー』と『レフト』が補強ポイント
  • FA市場には『森友哉』と『近藤健介』がいたが、岡田監督は「年寄りはいらん」と獲得に名乗りを上げず
  • 2023年の『梅野隆太郎』と『ノイジー』は12球団で最低水準の貢献度

 2022年オフの時点で「得失点貢献の低さ」が指摘されていたのはキャッチャー、レフト、ライトの3つ。森下翔太をドラフト指名したことで『キャッチャー』と『レフト』が「残る補強ポイント」でした。

 現実的な解決策は「FA で即戦力選手を獲得して補強ポイント(のどちらか1つ)を埋める」でしょう。しかし、岡田監督は FA 戦線には加わらず。“自らがレギュラー指名した選手” に固執しました。

 その結果、“主力選手(≒ノイジーや梅野)よりも得失点貢献の高さを示した(小野寺のような)若手選手” が結果に見合った出場機会を得ることはできず。若手選手の成長に蓋をする形となったのです。

 小野寺の成績がノイジーを下回っていたなら、「ノイジーの壁を乗り越える必要がある」など若手選手の発奮を促す訓示は適切です。

 しかし、“若手選手よりも成績が芳しくない助っ人選手や中堅ベテラン勢” が1軍と2軍で偏重起用されていたのが実情でした。オーナーの訓示が「的外れ」なのは阪神以外の球団にとって朗報以外の何物でもないでしょう。

 

「選手への誹謗をマスコミの前で続ける岡田彰布監督」を “阪急出身のオーナー” としてどう考えているのか

 また、杉山オーナーは「岡田監督が試合後の囲み取材などで『所属選手に対する誹謗』を何度もしていることを容認するのかどうか」の見解を明らかにすべきでしょう。

 “阪神出身ではない杉山オーナー” は「阪神では誹謗と捉えかねない選手批判は黙認されてきたかも知れないが “私は” 時代的にも容認されないと思う」との苦言を取材陣の前で呈することができる立場にあるからです。

 もちろん、「岡田監督の発言は『叱責』の範疇にも入らない」と全面擁護することも可能です。

 どちらの立場を採るかは杉山氏自身の価値観次第ですが、沈黙が効果的とは思えません。“杉山オーナーの出身母体である阪急電鉄” がエンターテイメント事業である『宝塚歌劇』の件での批判を浴び始めているからです。

 危機管理は大枠の「球団経営」だけでなく「ハラスメント問題」など細分化された分野でも重要な項目です。オーナーが自身の責任と権限でどの方向性を示すのかが重要になると思います。