中嶋監督の消極的な采配と継投策に付け込んで日本一に王手をかけた阪神タイガース

 日本シリーズの第4戦と第5戦は “拙攻で試合を決め切れなかったオリックス” を土壇場で巻き返した阪神が2連勝で一気に日本一へ王手をかけました。

 これらの2試合は「中嶋監督の継投策(や作戦)」が微妙だったことは否めません。

 「攻撃は最大の防御」と言える展開であっただけに『(守りに入った)消極的な投手起用や作戦』を採ったことが結果に影響しました。この方針を継続するのであれば、シリーズは第6戦であっけなく閉幕するでしょう。

 

第4戦: カウント3ボール2ストライクの連続申告敬遠はどうなの?

 オリックスの2勝1敗で迎えたシリーズ第4戦で疑問符が付くのは「3-3 の9回裏1死3塁3ボール2ストライクから打者・中野と次打者・森下を連続申告敬遠(をして1死満塁で大山との勝負を選択)したこと」です。

 9回から登板したワゲスパックが(2度のワイルドピッチが示すように)荒れていたのは事実です。

 しかし、カウントが “3ボール2ストライク” だったのですから、『高めのボールゾーンへのストレート』を要求する選択肢はあったはずです。

 もし、中野がボール球に手を出してくれれば儲け物。3番・森下や4番・大山を連続申告敬遠する余裕が生まれますし、その場合は「9回2死満塁で代打・原口との勝負」になっていたでしょう。

 仮に、ワゲスパックが投じた『高めへのストレート』をボールと判定されても敬遠したことと同じです。

 「ワゲスパックを起用した際に採ることができた『勝負手』を切れなかったこと」が敗因と見なされることでしょう。

 

第5戦: 山本由伸をブルペン登録した理由が意味不明

 両チームが2勝2敗で並んだ第5戦では「山本由伸を何のためにベンチ入りさせていたのか」が否が応でもクローズアップされることでしょう。

  • オリックスのベンチ入り投手陣
    • 平野:守護神
    • 山本由伸
    • 宇田川:2連投中
    • 比嘉:対右打者のスペシャリスト
    • 阿部:第1戦で1失点、第4戦は三者凡退
    • 山﨑颯一郎:第3戦と第4戦はベンチ外
    • 曽谷・齋藤:日本シリーズでの登板なし

 オリックスは先発・田嶋が好投。7回を84球被安打4・与四死球1で投げ切り、「8番・木浪から始まる2点リードの8回裏を誰に託すか」が注目点でした。

 定石は「先発・田嶋の続投」でしょう。8番・木浪は敬遠と送りバントで田嶋とまともに対峙していなかったですし、3番・森下まで回った場合に比嘉を投入して “火消し” を図るプランで凌ぎ切れたと思われるからです。

 一方で継投策の場合は「8回・山本由伸、9回・平野」でしょう。前日のサヨナラ負けで “起用する考えのない投手” をベンチ入りメンバーに登録する余裕は失われていたはずからです。

 

 2023年の日本シリーズはエラーが相手チームの得点の呼び水になっている感じがありますが、投手継投やベンチワークのミスも同様の結果になるでしょう。

 『(消極的で逃げの印象が残る)守りの采配』ではなく「攻撃は最大の防御」と割り切って勝負手を打てる指揮官が率いたチームに栄冠は輝くと思います。