5回表無死1・3塁の廣岡の当たりをショートゴロ併殺にできなかった守備の方が問題

 2023年の日本シリーズ第3戦は中盤5回表に守備の乱れで突き放された阪神が終盤での追い上げも実らずに 4-5 で惜敗しました。

 評論としては「伊藤将司の悪送球」がクローズアップされていますが、その前に起きた「廣岡のショートゴロで併殺を取れなかったこと」が発端でしょう。

 “普段どおりのプレー” を期待するのであれば、「併殺を取れなかった二遊間の守備」も俎上に載せる必要があるはずです。

 

同点の局面で「1失点なら許容する守備隊形」を敷くことは問題なし

 第3戦は 1-1 で迎えた5回表に流れが大きく傾きました。オリックスは1塁にヒットで出塁した紅林を置いた状態で若月がエンドランを敢行。無死1・3塁の大チャンスを手にします。

 ここで阪神は『内野手を後ろに下げた併殺シフト』を選択。

 球足の速いゴロやポテンヒットなどで「1-2 と逆転されて尚も1死2塁のチャンス」という局面を作られたくなかったため、3塁走者・紅林の存在を無視するのは間違いではないでしょう。

 そして思惑どおりに打者・廣岡にショートゴロを打たせることに成功します。

 ただ、“右打者の廣岡” はリスエストをするまでもない余裕のタイミングで1塁を駆け抜けて出塁。このプレーが阪神にとって「誤算」となってしまいました。

 

廣岡の打球は「1つアウトを取るだけで精一杯」ではなかった

 廣岡の放った打球は少し高いバウンドではあったものの「1つのアウトを取るだけで精一杯」というものではありませんでした。

 阪神が『中間守備に近い守備隊形』を採っていれば、廣岡の打球は 6-4-3 の併殺として難なく処理できたでしょう。

 しかし、『打球速度のある強打者用の併殺シフト』を採っていたことでショートの木浪は後ろのバウンドでの処理となり、セカンド中野からの1塁転送は間に合いませんでした。

 “アウトにできたはずの打者走者” を出塁させてしまったのですから、投手の伊藤将司が「野手のエラーをカバーしよう」とバント処理で先の塁でのアウトを狙うのは止むを得ないことです。

 握り損ねは「伊藤将司の技術的なエラー」であるものの、それを誘発させる原因となった「二遊間の守備」も見直す必要があると思います。