1軍レベルの投手とバッテリーを組ませる目的での長坂の抹消は理解できる

 岡田監督が交流戦を前にした囲み取材で第3捕手としてチームに帯同していた長坂の登録を抹消した狙いを以下のように語っています。

1軍におったピッチャーを(2軍で)投げさせるからな。長坂に受けさそうと思って。
(中略)
富田とかな、そういうピッチャーは、長坂に受けさせたほうがなええからな。経験があるやつに。

 この目的は合理的ですし、理解する声が大半を占めるでしょう。

 ただ、1軍での第3捕手の出場機会が少なすぎる問題は残ったままです。『戦力の最大化』を目指した起用方法を怠った “ツケ” は取り返しが付かなくなるため、捕手の起用方法が重要になると思われます。

 

長坂のような第3捕手は1軍に必要な戦力

 現在の阪神は正捕手の梅野と第2捕手の坂本がスタメンマスクを完全に分け合っている状況です。

 長坂のような第3捕手が必要となるのは「梅野と坂本のどちらかが予期せぬ負傷での離脱を強いられた場合」です。

 そうした事態に直面した場合に “即座に” 週1〜2試合でスタメンマスクを被ってもらう必要性が生じます。だから、「試合感を保たせるために長坂にも1軍でマスクを被らせろ」との声が出るのです。

 

教育目的で中川を1軍に帯同するのは良い

 岡田監督は「捕手は先発フル出場が原則」の起用方針を採っているため、長坂を1軍の第3捕手として登録しておくメリットがほとんどありませんでした。

 先発投手が早いイニングで KO された試合でも第3捕手にマスクを被る機会は訪れなかったのです。それなら、中川勇斗('21年ドラ7)や藤田健斗('19年ドラ5)を教育目的で帯同させた方が合理的です。

 その一方で長坂には「1軍昇格を前提にファーム調整中の投手とのバッテリーで実戦感覚を養う」という大事な役割が任されることになるため、『1軍再昇格のタイミング』と『再昇格後の役割』が重要になるでしょう。

 交流戦終了後も第3捕手がマスクを被る機会がほとんど訪れないのであれば、「次世代の正捕手育成」を妨げる弊害をもたらすことになるからです。