回跨ぎ予定の桐敷が待たされすぎて投球リズムを掴めなかったのはあまりに不憫だった

 巨人 6-9 阪神:19回戦(東京ドーム・2023年8月26日)

 8月26日に行われた巨人対阪神の19回戦は両チームの投手が与四球14・与死球2と荒れたものの打撃戦を制した阪神に軍配が上がりました。

 阪神は中継ぎとしてフル回転中の桐敷が「中継ぎ転向後の初失点」を喫したのですが、この失点に関しては同情の余地が大いにあるでしょう。なぜなら、回跨ぎ予定だった7回裏の登板を待たされすぎたからです。

 

近本から5人も打席に立つのは想定外

 阪神は7回表の1死満塁から木浪の満塁弾が飛び出し、3-8 と5点のリードで9番の桐敷が打席に入ります。

 桐敷は見逃し三振で2アウト。これは岡田監督の想定どおりでしょう。1番の近本が「初球打ち」を避けて少しだけ時間を稼ぐ間に桐敷が7回裏の登板に向けた準備をする算段だったはずです。

 ところが、巨人の5番手・今村が乱調で阪神の攻撃が長引いてしまいます。

  • 7回表2死走者なしからの阪神打線
    1. 近本:四球
    2. 中野:四球
    3. 森下:センター前にタイムリーヒット
    4. 大山:四球
    5. ノイジー:レフトフライ(※ 阪神の攻撃終了)

 ここまで打線が繋がってしまうと「さすがに待たされすぎ」です。先発投手でならビッグイニングを待つこともありますが、回跨ぎをする中継ぎ投手として集中力を保つのは困難です。

 したがって、森下のタイムリーが出た時点で『ピッチャー交代』の選択肢が生まれていても良かったと思われます。

 

「桐敷に7回裏の続投するための投球練習をさせた後で球審に投手交代を告げる」も “あり” だったはず

 6点のリードがあれば及川やブルワーに1イニングを任せることはできたため、森下のタイムリーが出た時点でブルペンに連絡すれば準備は間に合ったと思われます。

 同時に桐敷には安藤コーチが「7回裏はマウンドでの投球練習まで」と告げ、桐敷の後を引き継ぐ投手は “7回裏の攻撃が始まるまでのイニング中” に登板準備を済ませる形です。

 この投手起用は「時間稼ぎ」や「試合時間が伸びる」との批判を受けやすいのですが、それに関しては発言力の大きい岡田監督が「7回表2アウトからの攻撃が予想以上に長かったからや」と “一蹴” すれば良いことです。

 信頼度の高い投手を作ることも重要であるため、状況に応じた柔軟な投手起用が貫き通せるかが重要なポイントになるでしょう。