青柳のように投手三冠に輝くための課題が示された村上頌樹

 4-1 で敗れた6月6日の楽天との交流戦で阪神が手にした数少ない収穫の1つが「先発の村上頌樹が8回4失点で完投したこと」でしょう。

 チーム事情を踏まえると完投は大きな貢献です。その一方で “さらに上のレベルを目指して欲しい村上” には課題が示された試合とも言えます。

 矢野前監督の注文などに応じ、課題を1つずつ克服して『先発投手としての引き出し』を増やして行くことが重要になるでしょう。

 

鈴木大地の得意コースに投げてチャンスメイクされ、太田への失投がタイムリーという悪循環

 6日の楽天戦に先発した村上は「失点時の内容」を悔やんでいるでしょう。どの失点も(振り返って見ると)防げた可能性があったからです。

 まず、鈴木大地に『引っ張りが可能なインコース』を投げたことが間違いでした。

 鈴木大地は2年前の交流戦で藤浪がインコースに投げ切った 150km/h のストレートをライトに本塁打を放っています。

 インコース(=ライト方向へ引っ張れるボール)が主体だった最初の2打席は安打を許したものの、アウトコース中心に切り替えた3打席目と4打席目は難なく打ち取っているからです。

 「非力な打者にはインコースの強い球を投げておけば安全」とはならないケースがあるのです。

 “セオリーに反する打者” は事前にピックアップし、必要な警戒を怠らないことが再発防止策になるでしょう。

 鈴木大地にチャンスメイクされた後に向けた太田には『失投で真ん中付近に行ってしまった変化球』をレフトに弾き返されてタイムリーを2本許す結果となりました。

 これは投げミスをした村上自身が最も悔やんでいることであり、反省を促す必要すらないでしょう。周囲は「次回登板時の修正」を期待すれば十分だからです。

 

7回97球の村上を続投させる意味があったのかは7日以降の投手起用次第

 6日の楽天戦では先発の村上頌樹が「8回を完投」しました。8回も続投させる意味があったのかは7日以降の中継ぎ投手の起用次第です。

 5日のロッテ戦でブルペン陣を “ほぼ” 総動員した阪神タイガースですが、6日の楽天戦では「8回の1イニングだけなら任せられる投手がいたから」です。

  • 及川: 5日のロッテ戦は未登板
    • 防御率 1.59
    • 交流戦での登板は6月3日のロッテ戦のみ
  • ケラー:5日のロッテ戦に登板(1回23球)
    • 防御率 2.13
    • 交流戦での登板は6月1日の西武戦(1回15球)

 及川とケラーは「登板間隔が開きがち」でしたし、岡田監督は両投手に『勝ちパターン入りのチャンス』を与える起用方法をしていないからです。

 「1回19球・自責点1との引き換えで先発・村上を続投させる意味があったのか」は7日以降の5試合での中継ぎ陣の運用成績という結果で評価されるべきでしょう。

 

 前日のリリーフ運用や疲労を考慮しての試合当日のフリー打撃中止で先発の村上は “捨て駒” にされたのです。

 このような腹立たしい現実を割り切る術を習得することも『投手三冠』には欠かせません。

 6日の楽天戦で見付かった課題を1つずつ修正し、引き出しの数を増やすことで後半戦に活かして欲しいと思います。