“ウル虎の夏2023の6連戦” で島本と加治屋が5試合に登板するブルペン運用は『普通』ではない

 広島との首位攻防3連戦を2勝1分で制した阪神は2023年7月を首位で終えました。

 岡田監督は「まだ7月やで」と “絶口調” で喜びを隠し切れていませんが、7月末に開催された『ウル虎の夏』の6連戦で島本と加治屋の2投手が5試合に登板していることは懸念点です。

 1試合は延長12回だったとは言え、「6連戦で5試合に登板した中継ぎ投手が2人も出してしまったこと」は反省して運用を改善しなければならないでしょう。まだ7月だからです。

 

6連戦で5試合に登板する中継ぎ投手が2人も出る運用には改善の余地がある

 ブルペンに入っている中継ぎ投手が「連投」や「回跨ぎ」をせざるを得ない試合展開はあります。ただ、6連戦で5試合に登板した中継ぎ投手が “2人” も出たことは運用そのものを見直す必要があるはずです。

表:島本と加治屋の登板状況
相手 島本 加治屋
7/25 1回・10球
【1勝】
1回・9球
【1H】
7/26 0.1回・6球 1回・6球
【1H】
7/27 0.2回・16球
(与四球1、1失点)
7/28 1回・13球
7/29 1回・12球
(被安打2)
0.1回・8球
(被安打1、1失点)
7/30 0.1回・6球
【1H】
0.1回・1球
【1H】

 7月末に行われた『ウル虎の夏2023』で阪神は島本と加治屋の2人が6試合中5試合で登板しました。

 7月29日の広島戦(14回戦)は延長12回に突入したため、信頼度の高い投手から順にブルペン陣が総動員になることは止むを得ません。

 しかし、「劣勢の試合」や「大量リードの試合」で “信頼度の高い投手” を投入して消耗させることは本末転倒です。28日の広島戦(13回戦)は5点リードだっただけに「加治屋の温存は可能だった」と言えるでしょう。

 

坂本誠志郎がマスクを被っている時はK・ケラーを登板させるべき

 「(28日の広島戦で)加治屋の温存は可能だった」と言える根拠はカイル・ケラーです。

 K・ケラーは打たれている印象がありますが、それは梅野がマスクを被っている時のこと。坂本誠志郎とバッテリーを組んだ際は岩崎に匹敵する数値で相手打線を “制圧” しています。

表:坂本誠志郎と組んだ時のK・ケラーの成績
相手 投球回
(球数)
失点 被安打
(与四死球)
奪三振
4/28 1回
(11球)
0 0 2
5/9 1回
(11球)
0 0 (2) 0
5/13 De 1回
(19球)
0 0 (2) 1
5/23 0.2回
(25球)
1 2 (1) 1
6/1 西 1回
(15球)
0 0 2
6/13 1回
(11球)
0 0 1
7/16 1回
(11球)
0 0 2

 “坂本とバッテリーを組んだK・ケラー” は7試合6.2イニングで1失点。ヒットを許したのは “土砂降りの神宮” でのヤクルト戦での2本のみ。被 OPS は 0.350 です。

 “坂本誠志郎とのバッテリーを組むK・ケラー” は「5点リードの9回を(加治屋の代わりに)任せられるだけの成績を残している投手」ですし、その決断ができなかった岡田監督は「勝負度胸がない」と批判されても文句は言えないでしょう。

 

 後半戦が始まったばかりの「まだ7月」に行われた6連戦で “2人の中継ぎ投手” が5試合に登板するのは『普通』ではありません。

 7月末の6連戦でのブルペン陣の運用が『異常』と認め、信頼度の高い投手を「リードを許している局面」や「大量リードを手にした展開」では温存できるかが2023年8月での注目点になると思います。