He (Akinobu Okada) Fought the Law, and the Law Won

 8月18日に行われた DeNA 対阪神の18回戦では9回表の熊谷が走塁死となったプレーに対する判定が波紋を起こしています。

 「なぜ審判団はあのプレーで走塁妨害を取らなかったのか」とデイリースポーツなどが批判していますが、「オブストラクション(走塁妨害)を取る要件をルール的に満たしていなかったから」が理由です。

 オブストラクションが宣告されなければならない理由を “岡田監督” も “岡田監督を応援するマスコミ” も示せていないことが事実を物語っていると言わざるを得ないでしょう。

 

走者と守備者の優先権

 まず、走者と守備者の優先順位は以下のようになります。

  • 打球処理中の守備者との接触: 守備妨害(=インターフェア)
  • 送球処理中の守備者との接触: 両者への妨害宣告なし
    • “ボールを保持している守備者” との接触がこれに該当
    • ボナファイド(=併殺崩しの危険スライディング)は除く
  • ボールを持たない守備者との接触: 走塁妨害(=オブストラクション)

 問題となったプレーで「打球」は存在しないため、阪神の走者(=熊谷)が守備妨害を宣告される可能性はゼロです。

 したがって、「京田のプレーがオブストラクションに該当するか」が鍵となります。

 

“ボールを持った守備者” にオブストラクション(走塁妨害)を宣告するのは起こり得ない

 問題のプレーを時系列で整理すると次のようになります。

  1. 代走の熊谷が盗塁を敢行し、ショートの京田がベースに入る
  2. 山本の送球がワンバウンドとなり、京田は左足をセカンドベース前に残して捕球
  3. 熊谷がセカンドベースにスライディング
  4. 京田の左足に阻まれてベースには未達の状態でタッチされる

 審判団がオブストラクション(走塁妨害)を取らなかった理由は「当初はホームベース寄りの位置での捕球を試みていた京田がワンバウンドの送球を処理するために “左足が偶然セカンドベース前に残った状態で捕球した後” にスライディングをした熊谷との接触があった」との事実が映像で示されたからでしょう。

 送球を捕球した選手を “ボールを保持した守備者” と見なさないと「タッチをされる前に走者と接触したから走塁妨害」という新解釈が発生してしまいます。

 だから、『走者』と『ボールを保持している守備者』の接触には「両者に妨害は原則として宣告しない」というルール運用がされているのです。

 

「審判団のルール解釈が間違っている」とマスコミの前で主張できない岡田監督

 この試合では阪神・岡田監督の “イキリ” が無様でした。

 「俺は引き下がらへんからな」と啖呵を切るも退場宣告間際になると審判に促される形でベンチに下がり、試合後に「審判団のルール解釈が間違っている」と懇意にしているマスコミに根拠を述べることもなく球場を後にしたからです。

 「引き下がらへんからな」と啖呵を切ったのなら退場処分を通告されるべきです。

 その上で「退場?あの判定はあかんやろ。塁審はセーフ言うてたやん。故意か偶然か分からんのやったら最初の判定を維持したら良いんとちゃうの?走塁妨害の有無以前の問題やん」ぐらいマスコミに言っておくべきでした。

 

 監督の振る舞いは「敗けた試合でこそ重要」なのです。プライドが高いだけの岡田監督は醜態を晒しすぎと言わざるを得ません。

 「『漢祭』の意味を履き違えてるんとちゃうか?負傷するリスクのある接触を上手く回避して走者をアウトにすんのがプロの技とちゃうの?」との嫌味を言えないのは監督としての力量不足でしょう。

 自らの采配による敗け試合の責任を審判団に転嫁できたことが岡田監督にとって唯一の収穫でした。