立浪監督の拙い継投策に付け込み2勝1敗と勝ち越した中日との3連戦

 5月2日から甲子園で行われた阪神対中日の3連戦(4回戦〜6回戦)は阪神が2勝1敗で勝ち越しました。

 中日は終盤に生じた守備のエラーに注目されていますが、立浪監督の拙い継投策が流れを悪化させたことも事実です。

  1. 先発・青柳が初回に3失点
  2. 先発・西勇輝が2回6失点で KO
  3. 先発・伊藤将が投手の柳に先制打を許す

 3試合ともにドラゴンズが “良い形で” 主導権を取っているのです。この状態で「カード負け越し」となったのですから、選手だけの責任とは言えないでしょう。

 

手堅い采配で中日が先勝

 2日の4回戦は手堅い投手起用を見せた中日が先勝しました。

 この試合で中日サイドがメモを取っておくのは「佐藤輝がライデル・マルティネスのスプリットを悠然と見送り、ストレートを引っ張って一塁手を強襲する2塁打を放つほど状態が良い」ぐらいです。

 それだけ攻守両面でドラゴンズの良さだけが示された試合でした。

 

毎回走者を背負った涌井を引っ張って流れを手放した5回戦

 試合の流れは3日の5回戦でもドラゴンズにありました。阪神は先発の西勇輝が2回6失点で KO。敗戦濃厚となったのですが、中日の先発・涌井もピリッとしない出来でした。

 涌井は4回を投げた時点で球数77・被安打7・与四球1で2失点。

 5回裏は無死3塁からノイジーのショートゴロの間に3失点目を許し、1死走者なしで大山にライトへのツーベースを許した時点で「先発・涌井を諦めて砂田にスイッチすべき」でした。

  1. 5回裏・1死2塁: 6-3 で中日が3点リード
  2. 打者は5番・佐藤輝、6番・島田、7番・梅野
  3. 中日の起用可能な投手陣
    • 砂田(4月29日と30日の DeNA 戦で1回ずつの登板)
    • 田島(4月30日の DeNA 戦で1回の登板)
    • 勝野(前日に 0.1 回の登板)

 砂田が「佐藤輝にストレートの四球」を与えても1死1・2塁になるだけ。6番・島田には “砂田が得意とする右打者” が代打で送られますし、7番・梅野はアウトが計算できる存在です。

 この状況に持ち込まず、涌井を続投させたことで『試合の流れ』が阪神に行ってしまいました。

 9回の守りも同様です。前日の対戦で “ライデルのボールを簡単に引っ張った佐藤輝” との勝負を選択したのは意味不明です。「無死1・2塁で6番に送りバントを決められても7番・梅野」と開き直る余裕がなかったことが響きました。

 

8回裏に併殺を取り損ねた後にノイジーに打たれたタイミング

 4日の6回戦は「ルーキーの拙いプレーで生じた悪い流れに飲み込まれた試合」でした。

 8回裏1死1塁で中野の打球は正面のピッチャーゴロ。投手の柳は 1-6-3 の併殺を狙うも、ショート村松のカバーが一瞬遅れ、握り直しにも失敗したことで併殺崩れで走者が残ってしまいました。

 ここで3番ノイジーにヒットで繋がれて2死1・3塁。4番の大山は1打席目がサードライナーで先ほどの3打席目が右中間へのツーベースを放っていたことを考えると「先発・柳の交代時」だったと言えるでしょう。

 しかし、大量リードで始まった前日の試合で「自信を付けさせる投手起用」をしていなかったことで “信頼できる投手” がブルペンに不在となっており、大山と佐藤輝に連打を許して逆転を喫することになったのです。

 

 「中日が悪くても2勝1敗」という試合展開だったにも関わらず、阪神が2勝1敗と勝ち越したのは「中日の自滅」に助けられたからだと言えるでしょう。

 柳との一蓮托生は理解できますし、それに値する投球内容でした。しかし、涌井の投球内容は違いました。「チームを勝たせる采配」より「チームの勝ちを遠ざける采配」の方が起こりがちなのだと思います。