「木浪の打球がダイレクトキャッチされた」と “正しく判断” して大急ぎで1塁に帰塁した坂本誠志郎のプレーは間違っていない

阪神 7-2 中日:20回戦(京セラ・2023年8月23日)

 阪神対中日の20回戦でダイレクトキャッチがワンバウンドキャッチと判定される誤審がありました。

 岡田監督は “塁審のセーフ判定を無視して大慌てで1塁に帰塁した坂本” にも不満気な表情を見せていましたが、リクエスト制度が運用されている NPB では『坂本のプレー選択』が正解です。

 「坂本よりも走塁能力に長けた木浪と走者が入れ替わった」とポジティブに捉えるべきでしょう。

 

木浪の打球はセンターフライ

 微妙な判定は阪神対中日(20回戦)の2回裏に発生しました。

 1死1塁で岡田監督はエンドランを敢行。左中間に飛んだ木浪の打球を岡林がスライディングでダイレクトキャッチをし、2塁付近にまで到達していた坂本は大急ぎで1塁に帰塁します。

 ところが、3塁塁審・白井は『セーフ』の判定。

 1塁走者の坂本は「2塁への進塁義務を怠った」との理由でフォースアウト。2死1塁で1塁走者が坂本から木浪に入れ替わることになりました。

 

3塁塁審・白井の “誤審” を信じているとリクエストで大損害を被っていた

 阪神にとって不運だったのは「1塁走者・坂本誠志郎よりも打球に近い位置で判定を下す審判員がいなかったこと」でしょう。

 盗塁の可能性があるため、2塁塁審はセカンドベースよりもキャッチャー寄りに陣取らざるを得ません。だから、左中間の微妙な飛球は “3塁塁審” が(可能な限り近づいて)判定することを強いられるのです。

 坂本誠志郎が3塁塁審・白井の『セーフ判定』を見て2塁に留まっていた場合、中日サイドは「岡林が1塁にボールを転送した後にプレーを止めてリクエストを要求」したと思われます。

 これをされると打者・木浪は岡林がダイレクト捕球をしているのでアウト。1塁走者・坂本は帰塁義務を果たす前に守備側が1塁にボールが送られているのでアウトとなり、ダブルプレーの成立は不可避でした。

 そうなった場合に岡田監督が鬼の形相で猛抗議しても無意味です。

 「審判員の誤審を防ぐためのリクエスト制度」と一蹴されてしまうからです。誤審はリクエストで上書きされるため、正確な判定を行なっていた坂本と岡林は讃えられるべきでしょう。

 

 リクエスト制度が使えない試合だと審判が下した判定が覆るケースは極めて稀であるため、3塁塁審の判定を横目で確認することが要求されます。

 今回は「坂本が良い状況判断を下していた」と評価されるべきだと思います。