違反球で貧打だった2011年や2012年よりも打撃不振が深刻な2024年シーズンのプロ野球

 1順した2024年のプロ野球ですが、違反球が採用されていた2011年・2012年シーズンを上回る極端な『投高打低』となっています。

 「春先は投手の仕上がりの方が早い」と言っても、本塁打数は昨季より半減。三振数は昨季と同水準なのです。

 本塁打を除いだ安打数は変わっていないのですから、「昨季よりも “飛ばないボール” が用いられて2024年シーズンの公式戦が行われている」との疑念が付き纏うことになるでしょう。

 

投手のレベルが上がったのなら、奪三振数が増加傾向にあるはず

 NPB ではストレートの平均球速が毎年 0.5km/h ずつ上昇していますが、『1試合あたりの三振数』は「両軍合わせて14.5個ほどで横ばい」です。

 「150km/h 超の速球と落ちるボールで三振が増えた」のであれば、『1試合あたりの三振数』は「2014年から2023年までの10年平均」よりも「2021年から2023年までの3年平均」の方が多いはずです。

 しかし、そうした数値は示されていません。

 また、2023年シーズンの『1試合あたりの三振数』は両軍合わせて14.49個。2024年シーズンは対戦が1順した4月15日の時点で両軍合わせて14.38個と誤差の範囲内です。

 春先は投手の仕上がりが早いのであれば、投手の球に対応し切れてない打者は三振を多く喫するでしょう。そうしたデータは出ておらず、極端な『投高打低』の理由は「投手のレベルアップ以外」に要因があるはずです。

 

本塁打だけが2023年シーズンから半減

 2024年シーズンに大きく変わったのは『1試合あたりの本塁打』です。

 2023年シーズンは両軍合わせて『1試合あたりの本塁打』は 1.46 本でしたが、2024年シーズンは 0.78 本と半減しています。(違反球時代は両軍合わせて1試合あたり1本塁打)

 これは『 “最もホームランになりやすい引っ張ったフライ性の打球” がホームランになる確率』が両リーグで半減していることが理由です。

 得点と OPS は違反球時代を下回る数値(5.68点と .614)ですし、打者にとっての受難のシーズンになる可能性は大いに存在するでしょう。

 

 実は2023年シーズンも「違反球時代を彷彿させる投高打低のシーズン」でした。

 今シーズン・2024年シーズンは「2023年シーズンよりもボールが飛ばなくなっている」のですから、プロ野球のエンタメ性が損なわれたことで「観客数の減少」という本末転倒な事態に直面することも起こり得ると思います。