右打者のインコースに要求された “沈む速球” を投げ切れていない加治屋に「ファームでの修正期間」を与えるべき

 巨人 2x-1 阪神: 9回戦・2023年6月30日、東京ドーム

 加治屋が伏兵の岸田に手痛いサヨナラホームランを浴びて阪神は 2-1 で敗れました。

 打たれたボールは「アウトコースの高めに浮いたカットボール」ですから『結果論』による批判は止むを得ません。どれだけの好投手でも失投は痛打されてしまうからです。

 むしろ、加治屋の生命線である “持ち味である右打者のインコースへのツーシーム系の速球” が投げ切れなくなっている『現状』を問題視し、修正のための時間を与えるべきでしょう。

 

加治屋の武器は「動く速球」

 右打者に対する強さを見せている加治屋の武器は「ツーシームのように動く速球」です。

 ストレートの回転軸が(2時方向に)傾いているため、右打者から見ると「身体の方に食い込んで沈む速球」という “厄介なボール” でゴロアウトを量産しています。

 ただし、投げるコースを間違えると威力は半減します。加治屋の調子が思わしくないのは「強みであるストレートを右打者のインコースに投げ切れないこと」が原因でしょう。

 

『要求された右打者のインコース』にストレートを投げ切れないと苦しい

 2023年シーズンは開幕時からフル回転の加治屋ですが、6月中旬のオリックス戦から「要求された右打者のインコースにストレートを投げ切れていない」という問題に直面しています。

 右打者のインコースを狙ったストレートが(引っ掛ける形で)アウトコースに行ってしまっているのです。この状態では「加治屋は右打者のインコースを狙っても投げれない」と判断してアプローチを変えてくるでしょう。

 加治屋の状況は「 “左打者のインコースに投げれない青柳” と同じ」だからです。

 加治屋のストレートは「右打者のインコースに投げ切るほど威力は発揮するボール」です。“そのボールが使えない状態の加治屋” を『重要な局面』で登板させても火消しに失敗する確率が高くなるだけです。

 

 ストライクゾーンを内と外に2分割した状態で「キャッチャーが右打者のインコースに構えた際にストレートをある程度の確率で投げ切れる」ようにファームでの修正期間を与えるべきです。

 今は『右打者のインコースに狙ってもほとんど投げ切れていない状況』が “続いている” からです。

 「投げ続けていれば制球力は戻ってくる」と安易に考えていると、取り返しの付かない痛手を被ることになるでしょう。