6月下旬の時点で『1試合あたりの安打・塁打・盗塁・犠打』が2022年の数値を下回っている岡田阪神、『四球狙い』が目的になっては本末転倒

 DeNA に3連敗を喫して首位陥落となった阪神ですが、スポニチなどは「巻き返しの鍵は『四球力』」との記事を掲載しています。

 昨年(2022年)と比較して岡田阪神は『1試合あたりでの四死球数』が増えていることは事実です。ただ、安打や塁打など打撃項目の数値は昨年よりも悪化しているのです。

 シーズンが進むほど『1試合あたりの三振数』も増えており、「四球を取ること」が目的になっては本末転倒と言わざるを得ないでしょう。


四死球の獲得ペースは維持されているが、他の項目は数値が悪化している

 『1試合あたりの安打・塁打・四死球・三振・盗塁・犠打』の数値を比較すると以下のようになります。

 マスコミは四球力を高く評価しているのは「2022年の数値と比較して良化している(2.83 → 3.93)項目」だからでしょう。他は「2022年と同水準か悪化」となっているからです。

 安打力と長打力は6月25日の試合が終了した時点で昨年の同程度。

 “打率2割前半で長打力のないノイジー” や “打率1割台の梅野” が主力として「先発フル出場」を前提に打席数を積み重ねているのです。

 昨年よりも貧打に苦しむ理由に「監督の起用方針が影響していること」は否定できないでしょう。


「目的(得点する)」と「手段(四球を取る)」が入れ替わっている

 今の阪神打線に「2アウトからの四球」を与えても大きな問題にはなりません。長打の可能性がほとんどないため、得点には「2連打」が必要となるからです。

 阪神が選んでいる四球は “得点に結び付けにくい無意味な四球” がほとんどでしょう。犠打が「1試合あたり0.67」と昨年の 0.83 を下回る数値に落ち込んでいることが理由です。

 「四球を選ぶこと」が目的になると、2ストライクからの『見逃し三振』が増えます。

 ボール球を振ると岡田監督がマスコミに「なんでボール球を振るねん」と文句を言うため、阪神の各打者は2ストライク後に『膝上の高さに投げ込まれたストレート』にバットが出ません。(ボール球になる変化球がその高さから落ちるため)

 そして、低めのストライクを見逃して三振に倒れると「バットが振れてない」との理由で2軍に降格させられます。(代表例が森下)

 得点するための手段の1つにすぎない『四球』を取ることに注力し、他の打撃項目が悪化して得点力不足になっては本末転倒です。状況は明らかに芳しくないため、首脳陣が方針転換をする必要があるでしょう。