連覇のポイントは『管理型の岡田野球(≒ "Game Power" の年間期待値で評価)』で『育成』を両立できるか

 阪神タイガースは日本一を達成して2023年シーズンを終えました。

 『日本一連覇』が2024年シーズンの目標となるため、岡田監督など首脳陣からは「若手選手の底上げによる戦力アップ」を意識した発言が相次いでいます。

 しかし、それは簡単ではないでしょう。岡田野球は典型的な『管理野球』であり、選手起用は『育成』には不向きだからです。

 

岡田野球の選手起用は『育成』には不向き

 岡田監督は「春季キャンプ中に『 "Game Power" の年間期待値』に基づいて序列(や役割)を決める」というアプローチを採っています。

 “成長が頭打ちになりつつある中堅選手” にとっては岡田野球は「やりやすい」でしょう。自分の役割が明確になりますし、選手によっては立場が保証されることになるからです。

 しかし、“成長曲線を描く余地のある選手” にとっては「成長の阻害要因」でしかありません。

 『 "Game Power" の実績値』でポジション奪取を狙おうにも、岡田監督の選手起用では『 "Game Power" の年間期待値』が優先。実績値を得るための出場機会が巡って来ないのです。

 この典型例が「梅野の起用方法」でした。「正捕手・梅野」や「3番レフト・ノイジー」といった “聖域” が生まれる起用方法を改めない限り、『育成』が上手く機能することはないでしょう。

 

「実用能力の最大値を伸ばすための出場機会」を1軍および2軍の公式戦でどう確保するのか

 『期待の若手』が『1軍の主力候補』として名乗りをあげるには「ファームでの実績」が欠かせません。ファームで実績を残すには「2軍での出場機会」が前提です。

 また、『1軍の主力候補』が『主力選手』に成長するには「1軍で実績を残すための出場機会」が必要になります。

 つまり、育成にとって重要なのは「どの選手をどれだけの公式戦に出場させるのか」という『出場機会の配分』なのです。

 “球界トップクラスのスイングスピードを持つもミート率に課題を持つ打者” は「ミート率を高める目的で取り組んだアプローチが通用するか」は公式戦の場で試さなければなりません。

 “ファームやブルペンでの良い投球を1軍のマウンド上で再現することに苦しんでいる投手” も同様です。

 キャンプや筋力トレーニングで伸ばせる『ポテンシャルの最大値』とは違い、『実用能力の最大値』は「公式戦での試行錯誤」を積み重ねることで伸ばして行くしかないのです。

 

 「経験のある中堅・ベテラン勢を起用すれば勝てる確率は上がる」との誘惑に負けることなく、将来を見据えて期待の若手選手にどれだけチャンスを与えられるかが連覇への鍵になるでしょう。

 プロスペクト候補はドラフトで指名しなければならないですし、プロスペクトは公式戦で(時には我慢強く)起用して主力選手へと成長する機会を与えなければならないからです。