「島内に全球チェンジアップを要求した會澤」と「2ストライク目をストレートで取りに行った梅野」

阪神 0-1 広島:3回戦(甲子園・2024年4月11日)

 阪神対広島の3回戦は好投した先発投手の後を引き継いだ2番手投手で明暗が分かれた試合でした。

 明暗が分かれた理由は「配球」でしょう。2番手投手はどちらも「150km/h 台後半のストレートを投げられる投手」だったため、ストレートの使い方に差が出たからです。

 

島内に全球チェンジアップを投げさせた會澤

 7回無失点の先発・大瀬良の後を受けて8回裏のマウンドに上がった島内は『150km/h 台中盤のストレート』と『チェンジアップ』で駆使して高い奪三振率を誇るセットアッパー。

 8番・木浪から始まる阪神打線は『速いストレート』に照準を合わせていました。

 ところが、捕手の會澤が全球チェンジアップを要求。

 「どこかでストレートが来る」と読んで待っていた木浪・前川・近本の裏をかき、3選手ともチェンジアップを待ち切れずに内野ゴロで三者凡退に終わります。

 

ストレートで2ストライク目を取りに行ったことが裏目に出たゲラと梅野のバッテリー

 9回表の阪神は8回無失点の西勇輝に代打・前川を送っていたため、ゲラを投入。ゲラは島内と同系統で『150km/h 台後半のストレート』と『カットボール』が武器のセットアッパーです。

 島内との違って誤算だったのは「先頭の3番・小園にカットボールをライト前に運ばれて出塁を許した」こと。堂林の送りバントで得点圏に小園が進塁しています。

 結果的に勝負の分かれ目となったのは6番・田村への配球でしょう。

  1. 内角低め高速スライダーを空振り
  2. スライダーが外角低めに抜けてボール
  3. インハイを狙ったストレートが少し内に入り、センターオーバーの3塁打

 「 “初球にストレート待ちのスイングで空振りをした打者” に2ストライク目をストレートで取りに行く必要はあったのか」という点に尽きます。

 「(松山と同様に)最後は低めのスライダーで空振り三振を狙う」という狙いであれば、どこかのタイミングで「ストレートを見せる」べきです。

 しかし、ストレートでストライクを取りに行く必要はありません。スライダーでカウントを整えて、ストレートは『見せ球』や『誘い球』として使うべきだったからです。

 

 運から見放されている時は「攻め急ぎ」などのわずかな綻びが致命傷になります。阪神は今がその時なのでしょう。

 “フィジカルコンディションの悪い選手” を強行出場させて得られるだけのリターンはありませんし、割り切った選手起用や采配が重要になると思います。