同じ先発投手に2度も封じられることもなく、同じ先発投手が2度も炎上しなかった2023年の日本シリーズ

 2023年の日本シリーズは4勝3敗で競り勝った阪神が日本一の称号を手にしました。

 このシリーズは「出場した両チームの選手が抜群の修正能力を見せ付けたシリーズ」と言えるでしょう。

 相手の先発投手に1度目の対戦で沈黙させられた打線は「2度目の対戦では KO でやり返していました」し、1度目の対戦で KO された先発投手は「2度目の対戦で相手打線を沈黙させていた」からです。

 そのため、“6人目の先発投手” が控えていた阪神に勝利の女神が微笑んだと思われます。

 

先発投手が最少失点で試合を作れば競り勝てる

 2023年の日本シリーズで阪神の先発投手陣が残した成績は以下のとおりです。

表: 2023年の日本シリーズに登板した阪神の先発投手陣
勝敗 投手 投球回 球数 失点
1 村上 7 100 0
2 西勇 3.2 68 4
3 伊藤将 5 83 4
4 才木 5 95 1
5 大竹 5 82 1
6 村上 5 82 4
西勇 3 52 1
7 青柳 4.2 79 0
伊藤将 3 32 0

 2023年の日本シリーズでは1登板目に好投した村上(神)と宮城(オ)は2登板目に無念の KO。どちらもチームを優勝へと導くことはできませんでした。

 その一方で1登板目に苦杯を舐めた西勇輝(神)、伊藤将司(神)、山本由伸(オ)は2登板目で相手打線を圧倒。こちらは修正力を見せ付けています。

 これらの事実から「日本シリーズに主力として出場する選手の修正能力は想定以上」との認識で来季以降に向けた準備をする必要があるでしょう。

 

“6人目の先発投手” がシリーズの鍵

 結果論で言うと、2023年の日本シリーズは「『良い先発投手(=Aランク)』の絶対数が多かった阪神」に軍配が上がりました。

 『最高の先発投手(=Sランク)』は山本由伸ですが、その山本由伸でも「シリーズ2勝」ができなかったのが今年の日本シリーズでした。

 交流戦が行われるようになったとは言え、実質的に今季1度目の対戦となる『良い先発投手』に “レギュラーシーズンどおりのピッチング” をされてしまうと打ち崩すことは簡単ではありません。

 この点で「普段どおりと言い続けて選手起用をしていた岡田監督は運も持っていた」と言えるでしょう。

 

 2023年シーズンを勝って終わることができた阪神タイガースは「2024年シーズンも勝って終わること」が期待されることになります。そのためには「『チーム編成』と『育成』を上手く両立できるか」が鍵になると思います。