積極的だった阪神の各打者はストレートに振り遅れていたが、変化球から入ったカープバッテリーに救われる

 2023年のクライマックスシリーズ・ファイナルステージは阪神が 4-1 で先勝しました。

 この試合ではレギュラーシーズンとは打って変わって『初球からの積極的なスイング』を仕掛けた阪神に軍配が上がったものの、打線としての修正点が露呈したことも事実です。

 九里と坂倉のバッテリーに「阪神の各打者は『ストレート狙いのタイミング』だがストレートに振り遅れている」と中盤戦までに確証を持たれなかったことが勝因と言えるでしょう。

 

“多彩な球種が持ち味の九里” に積極的なスイングで挑むのは間違いではない

 岡田監督が率いる阪神は『じっくりボールを見る』が特徴ですが、クライマックスシリーズ・ファイナルステージの初戦では『ファーストストライクから積極的に振る』という真逆のアプローチを採用しました。

 これはカープの先発・九里の持ち味を加味しての判断でしょう。

  • 九里は『多彩な球種』が武器だが、代名詞となる『絶対的な決め球』はない
  • 九里にストライク先行でカウントを作られると苦しい
  • コースを狙いすぎてカウントを悪くして自滅した対戦歴がある

 阪神が1番嫌だった展開は「九里に大胆な配球でストライク先行のカウントを作られること」でした。

 それを避けるために「ファーストストライクから積極的に振って良い」との指示を出し、カープバッテリーに慎重な入り(≒ ボールカウントが先行)を唆して主導権を得ようとしたのでしょう。

 そして勝敗の分かれ目は「阪神打線の狙いが見えてからの配球」になりました。

 

九里のストレートを打ち返せなかった阪神打線

 阪神の各打者が『ストレート狙いのタイミング』だったことは初回の攻撃で見え見えでした。曲がり球に内野ゴロを連発していたからです。

 「阪神の各打者はストレートを意識している」と判断し、変化球を要求することは間違いではありません。

 しかし、“ストレートを意識しているはずの阪神の各打者” で打ち返せたのは逆球でインコースに来たストレートを3塁線に打った第1打席の森下のみ。その他のヒット(や安打性の当たり)はすべて変化球でした。

 特に、第2打席で同点弾を放った森下は「ストレートに対して明らかに遅れていた」にも関わらず九里が投じたストレートは1球だけでした。

 それだけに「阪神の各打者の反応を見てストレートの割合を増やされていたら厳しかった」と言わざるを得ないでしょう。

 

 4-1 で快勝したものの、打線はタイミングの微調整が求められていることは事実だと思います。