小園に同点タイムリーを許した岩貞を結果論で批判するのは簡単だが、「仕方ない」と割り切った岡田監督の姿勢は正しい

阪神 2-2 広島:14回戦(甲子園・2023年7月29日)

 阪神と広島の首位攻防戦は 2-2 で引き分けました。阪神は1点リードの8回表の継投が決まらずに同点に追い付かれてしまったのですが、岡田監督は「仕方ない」と割り切っています。

 最善を尽くした上で結果だけが伴わなかったのですから切り替えて翌30日の試合に臨めるかが鍵になるでしょう。

 

『外角のストレート』を入り球に選択したことは間違いではなかった

 8回表から登板した加治屋は先頭の上本にライト前ヒットを許すも磯村の送りバントで2塁封殺。1死1塁で1番・小園を迎えた場面で岡田監督は岩貞にスイッチします。

 坂本(と岩貞)が入り球に選んだのは『外角のストレート』。以下の理由から選択されたと思われます。

  1. 4打席目を迎えた小園は2安打
    • 3回の第2打席で青柳が投じたインコースのストレートをライト前にタイムリー
  2. インコースに投げて死球になると1死1・2塁で野間との勝負
    • 死球後にインコースは投げにくい
    • 6回の第3打席で野間はレフト前に流してヒットを記録

 『内角の速球系』だとボール球にする必要があり、制球が乱れた場合の代償が大きすぎます。

 だから、坂本は『(ボール気味の)外角のストレート』を要求し、岩貞もそれに応じようとしたのでしょう。

 

「四球を出して走者を進めたくない」という投手心理が裏目に

 ただ、“1死1塁” の局面が阪神にとっては結果的に裏目となりました。

 加治屋が2塁封殺を断念していれば1死2塁で小園。“今日の試合で2安打の小園” との勝負では「1塁が空いているので四球でも良い」と割り切れるため、入り球は “ボールと判定される際どいコース” に投げ切られていたと思われます。

 岩貞が救援したのは「好守で1死1塁となった場面」でしたし、アウトコースを狙った初球のストレートが少しストライクコースに寄ったこと(で同点打を許した結果)を批判するのはあまりに酷です。

 入り球が『明らかなボール球』だとカウント球を仕留められるりスクが高くなりますし、その場合は球場の雰囲気が変わって8回表に一気に逆転されていた可能性もあったからです。

 

 首位攻防戦3連戦の3戦目が残っているだけに「逃げ切りに失敗したショック」を引きずらず、切り替えて試合に臨めるかが鍵になるでしょう。