大竹耕太郎に阪神加入後の初勝利をもたらした坂本誠志郎のリードも良かった

 阪神対ヤクルトの2回戦は現役ドラフトで加入した大竹が6回無失点の好投をし、阪神が 1-0 で勝利しました。

 大竹の投球内容が良かったことは事実ですが、緩急自在の投球を引き出した坂本誠志郎のリードも評価されるべきでしょう。それだけ内容のあるリードだったからです。

 

ストレート主体で攻めた1順目

 岡田監督が試合後の取材で述べたように大竹は『緩急』を使ったピッチングをする投手ですが、1順目はストレート主体でした。

 ー 大竹が6回3安打、無四球で抑えたが。

 「ちょっと立ち上がりはあんまりよくなかったと思うんだけど、結構ストレートで押してたんでね。だから、まあ、どうなんですかね。本当の持ち味は緩急だと思うんだけど。まあ三回ぐらいから緩急を使って、ほんと、ナイスピッチングだったですね」

 『緩い変化球』を待っている打者の裏をかいて『速いストレート』を投げることで打者は詰まった当たりでの凡打をする確率が高くなり、ストレートの印象が2打席目以降に残ります。

 これが坂本の狙いでした。

 

2順目からはカットや2シームが主体でチェンジアップが織り交ぜる

 大竹は1順目の打者にはストレートが「やや浮き気味」だったもののインコースに制球し、それが結果的に【ストレートによるインハイ攻め】となっていました。

 2順目は小さく変化する速球系が主体に変化したものの、打者目線では【執拗なインコース攻め】を彷彿させます。しかし、要所で『抜き球』にあたるチェンジアップを織り交ぜたことで打者に的を絞らせませんでした。

 そして、このチェンジアップが3順目に “保険” として機能します。

 

“真ん中への失投のストレート” に疑心暗鬼

 大竹のストレートの質は良かったのですが、コースを狙ったストレートが真ん中に行ってしまう失投が何球ありました。それでも大事に至らなかったのは「ブレーキの効いたチェンジアップが打者に意識づけられていたから」です。

 2順目から解禁したチェンジアップは「真ん中(のコース)から変化が始まる球種」だったため、ヤクルトの打者が「チェンジアップかも」と迷いが生じたのです。

 ストレートが失投でど真ん中に行ってしまうとかなりの確率で痛打されてしまいます。そうなる前の段階で『ストレートと見間違う変化球』を打者に意識付けしておいたリードは讃えられるべきだと思います。

 

 打者の反応を見て投球できたことで大竹は自信を得たでしょうし、現役ドラフトの価値を球界全体に示せたこともプラスになるはずです。次は打線がもう少し援護してくれることに期待です。