カープとの首位攻防3連戦での最大の収穫は「大竹がストレートの球威を復活させたこと」

 9月8日から甲子園で行われた阪神対広島の3連戦は阪神が3連勝で優勝へのマジックを一気に5まで減らしました。この3連戦での収穫は「大竹のストレートに球威が戻ったこと」でしょう。

 阪神 OB の藤川球児氏は「極端な配球」と評論していますが、大竹と坂本のバッテリーが9日の広島戦で見せた配球は「原点回帰」と言うべきものです。

 前回登板までは「ストレートを投げたくても(簡単に打ち返されるリスクが高くて)投げることができたなかった」ものと思われます。

 

阪神で初先発した大竹は「序盤は結構ストレートで押していた」

 現役ドラフトで阪神に加入した大竹は4月8日のヤクルト戦(2回戦)で初先発。6回無失点で初勝利を手にし、岡田監督は試合後に以下のコメントを残しています。

ー 大竹が6回3安打、無四球で抑えたが。

「ちょっと立ち上がりはあんまりよくなかったと思うんだけど、結構ストレートで押してたんでね。だから、まあ、どうなんですかね。本当の持ち味は緩急だと思うんだけど。まあ三回ぐらいから緩急を使って、ほんと、ナイスピッチングだったですね」

 大竹は『緩急を駆使するピッチャー』ですが、投球スタイルは「打者に 140km/h 前後のストレートを意識させて(チェンジアップなどの)変化球で手玉に取るピッチング」です。

 8月以降は「疲労や特例抹消でストレートの球威が不足している感」が否めず、苦しい投球が続いていました。

 それを払拭する投球を9月8日の広島戦で披露できたことはチームにとって大きなプラスと言えるでしょう。

 

『遅チェンジアップ』で誤魔化せるのは打者1巡が限界

 7月下旬から8月にかけて大竹が打ち込まれていた原因は「体重(≒筋肉量)の減少」でしょう。

 それが「球の軽さ」を招き、相手打者をストレートで差し込めなくなったことが痛打を浴びる理由になっていたと考えられます。

 大竹と坂本のバッテリーが『球速 120km/h を下回る遅チェンジアップ』を使うのは「3巡目以降」が基本でしたし、それを1巡目から多投せざるを得なかった8月30日の DeNA 戦で速球系の球種を痛打されたのは必然だったのでしょう。

 配球が「打者の目先をそこまで誤魔化さないとストレート勝負は難しい」と “当時は” 物語っていたからです。

 

 大竹がストレートで相手打者を押し込めていたことはポストシーズンを見据えた上で大きいことです。レギュラーシーズンを良い形で締めくくって欲しいと思います。