“山本由伸の 159km/h の速球をホームランにする打者” の武器が「ボテボテの内野安打」の訳がない

 岡田監督が(スロースターターである)近本に対して「ボテボテの内野安打を狙え」と要求し、『目先の結果』を出すよう求めています。

 この指示は無視すべきでしょう。近本の1番の武器は「ボテボテの内野安打」ではありません。

 近本はプロ1年目の2019年に「三遊間にゴロを打って内野安打を稼ぐべき」との指導で調子をさらに落とし、オールスターで筒香などに助言を仰いで復調した経緯があるからです。

 また、侍ジャパンとの強化試合では山本由伸が投じた 159km/h のストレートをライトスタンドに放り込んでいるのです。自分が指揮をしていた試合での出来事を忘れるようでは困ります。

 

「(足を活かすために)三遊間へ転がせ」との勧めで調子を崩したプロ1年目の近本

 岡田監督の指示はプロ1年目の近本が調子をさらに崩した時と同じです。その近本は「オールスターで複数の選手に助言をもらえたことが財産になった」と語っています

 「しっかりと投手の足元へ打ち返すことができている結果でしょう。狙い球が来なくても粘れていますし、今は“空振りでもいいわ”と割り切れている自分もいます。それらが結果につながっているのかなと思います」

 「三遊間へ転がせ」との指示に反旗を翻す形で「しっかりと投手の足元に打ち返すこと」で復調したのです。

 にも関わらず、岡田監督は「三遊間へ転がせ」とアドバイスをしています。監督の手腕に疑問が出るのは必然でしょう。

 

2ストライク後に “走り打ち” で三遊間に転がしても『シフト』と『配球』で対策される

 「追い込まれてから “走り打ち” の形で三遊間に転がせば内野安打を稼げるのでは?」と考える人もいると思われます。ただ、現代野球では通用しないでしょう。

 理由は「データで打球方向と打球速度が出るから」です。

 要するに対戦相手は『三遊間に弱い打球を転がして内野安打を狙っている打者への守備シフト』を(投球モーションを合図に)敷くことができるのです。

 この網を回避することは簡単ではありません。相手に警戒される中でセーフティーバントを決めることと同じぐらいの難易度があるからです。