プロ野球の時短策について

 1月16日に12球団監督会議が行われ、試合時間の短縮に向けた取り組みが確認されたと産経新聞が伝えています。

 時短の狙いは「試合をスピーティーに行うことで(間延びを防いで)新規顧客の獲得に繋げること」でしょう。

 ただ、『次打者が打席に入るまでの30秒ルール』を徹底するよりも『牽制球の制限』を設けた方が日本のプロ野球では効果的です。MLB で採用されているルールの導入を検討するだけの価値はあるはずです。

 

送りバントを警戒して「まずは様子見の牽制」が時間の無駄

 日本のプロ野球で試合時間が長くなるのは「ランナーが出ると守備チームが『送りバント』などの小技を警戒して様子見の牽制球を(何度も)投じるから」でしょう。

  1. 攻撃チームが打者と走者にブロックサインで作戦を伝達
  2. 守備チームが攻撃側の出方を伺うために牽制球を投じて様子見
  3. “牽制された攻撃チーム” が打者と走者にブロックサインで作戦を再伝達
  4. “攻撃側の作戦再伝達を見た守備チーム” が球種とコースを決めて投球動作に入る

 現状のルールでは「ランナーのいる塁に牽制球を投じる回数」も「投球プレートを外す回数」も無制限です。

 それが『攻撃側の作戦が読みにくい初球』や『作戦を仕掛けやすいカウント』で “様子見の牽制球” が投じられる理由です。

 NFL という圧倒的人気球技に挑む立場である MLB が『(投球間隔に時間制限を設ける)ピッチクロック』や『牽制球の制限』を導入して「試合のスピーディー化」を図るのは必然と言わざるを得ないでしょう。

 

「打者1人に対して牽制球およびプレート外しは計4回まで」とルールで縛るべき

 守備側(=投手)が『時間無制限の現行ルール』をフル活用して打者を焦らすことで優位性を確保することに問題はありません。競技規則を遵守した戦術の1つだからです。

 ただ、打者を焦らすだけでなく「観客や試合中継の視聴者を飽きさせてしまう要素が含まれていること」が問題なのです。

 新規顧客の主要層は “タイパ” を重要視する若者世代です。そうした特徴のある若者・子供世代に対して「野球は “間” を楽しむスポーツだから」と説明しても以前のようには響かないでしょう。

 だから、「打者1人に対して牽制球およびプレート外しは計4回まで」と規則を制定し、「4回目の牽制球までに走者をアウトにできなかった場合は『ボーク』として扱う」と罰則も設けて試合のスピードアップを図るべきなのです。

 

 『牽制球制限』は『ピッチクロック』よりも安価に導入できる上、NPB では MLB よりも時短の効果は大きいでしょう。

 デメリットは「(バントなどの)小技を巡る攻防が少なくなる」という点です。その部分は “野球の華” ではないため、新規顧客の獲得を本当に考えているのであれば、ルール変更に本腰を入れるだけの価値はあると思います。