5月21日の広島戦(9回戦)を梅野の2安打3打点の活躍で勝利したことに気を良くした岡田監督が試合後のインタビューで「現状の捕手併用は不本意」と口にしています。
キャッチャーも、今は6連戦(梅野と坂本のスタメンが)3-3になってるけど、まあ、そういうつもりはなかったけどな。
『2021年シーズン途中からの正捕手論争』に終止符を打つための “奸計” が張り巡らされていましたし、それが裏目に出た結果が「梅野と坂本の先発出場機会が 3-3 で分け合う現状」なのです。
開幕前に選手の役割を決め付ける傾向のある岡田監督が「正捕手に指名した梅野を偏重起用」することは十分に起こり得るでしょう。
坂本誠志郎と組んだ先発投手が打ち込まれていれば『正捕手争い』に終止符が打てた
岡田監督は「『捕手のリードや配球』よりも『投手の出来』が投球成績に反映される」との価値観を有する指揮官です。だから、バッテリー陣の組み合わせは以下のようになっていたのでしょう。
先発 | 捕手 | 先発 | 捕手 | |
---|---|---|---|---|
1 | 西勇輝 (2) | 梅野 | 青柳 (1) | 梅野 |
2 | 大竹 (6) | 坂本 | 伊藤将 (3) | 梅野? |
3 | 西純矢 (5) | 梅野 | 才木 (4) | 梅野 |
先発 | 捕手 | 先発 | 捕手 | |
控 | 秋山 (7) | 梅野 | 村上 (8) | 坂本? |
第2捕手の坂本誠志郎に “投手陣の序列が最も低い大竹耕太郎” と組ませた理由は「3月5日のオリックスとのオープン戦のように3回4失点と打ち込まれると後付けで(坂本のリード等を)批判できるから」です。
(※ 大竹は梅野と組んだ3月15日の DeNA 戦では4回無失点だった)
岡田監督には「4番にインコースの真っ直ぐを2球続けたら打たれる」と “オープン戦での結果” を批判した過去があります。
大竹が公式戦で失点して(チームが敗戦して)いれば、結果論で坂本のリードが批判されていたはずです。
岡田監督の試合後語録は「正捕手は梅野」という空気を醸成する記事にもなるため、『正捕手論争』に終止符を打つ “奸計” としても機能します。その思惑があったことは否定できないでしょう。
4月16日の DeNA 戦(5回戦)で “4番の牧にインコースの真っ直ぐを2球続けて決勝2ランを許した梅野の配球” には苦言を呈していない事実が揺るがぬ証拠です。
坂本誠志郎からスタメンを剥奪する根拠が消失したことが岡田監督にとっての誤算
ところが、公式戦が始まると坂本誠志郎が『結果で正捕手争いを活性化させてしまう(岡田監督にとっての)誤算』を生じさせてしまいます。
- 大竹耕太郎: 現役ドラフトによる勝利投手第1号
- 村上頌樹: ジャイアンツを相手に7回完全投球
- 梅野と組んだ先発投手: 不振または勝利から見放される
「いくらリードが良いと言ってもな。チームが勝たれへんかったら意味ないわな」との嫌味すら言えない現実を “最初の試合で” 突き付けられてしまったのです。
岡田監督の権限で梅野にキャッチャーを変更することは可能ですが、大竹や村上が打たれて敗戦した場合に「ストライクが入れへんやん」や「ボールが高いやん」などと投手に責任転嫁することはできません。
「坂本誠志郎とのバッテリーだと抑えていた」という事実を基にした批判の矛先が岡田監督に向かうことになるからです。
岡田監督は『開幕前に自らが決めた選手の役割』に固執するタイプの指揮官ですから、“正捕手に指名した梅野” が絶不調を脱したと見なした時点で「週4試合で先発マスク」に舵を切ると思われます。
今の梅野は「週2試合で先発マスクを被る挑戦権を得た状態」です。「どれだけ状態が悪くても週3試合は梅野が先発マスク」の運用はチーム内競争の観点から歓迎できるものではありません。