デイリースポーツの評論家・西山秀二氏(元・広島、巨人)が「門別とバッテリーを組んだ坂本のリードが気になった」とネガティブな評価を下しています。
4月30日の中日戦 “だけ” を結果論で評論すれば当然の結論ですが、「1週間前の先発登板との違い」に言及されていないことが残念な点です。
「9連戦の2試合目に登板した先発投手として試合を作る」が目標
1週間前の先発登板で門別(と梅野のバッテリー)は「上位3人が左打者の DeNA 打線に『アウトコース一辺倒』の配球で6回途中で降板」を強いられました。
「中日も(前日と同じ打線を継続して)門別対策で先頭から左打者を並べる」と読んだから、阪神は『門別と坂本のバッテリー』に変更したのです。
そして、4月30日の試合は9連戦の2試合目。“1週間前の登板で有効な対策を発見された先発投手” で試合を作る期待を背負っていたことは明らかでしょう。
『門別の将来に配慮した優しいリード』だったことは事実
坂本の配球は確かに『優しいリード』でした。ただし、配慮の対象は「中日打線」ではなく「門別の将来」でした。
1巡目は「ストレートとカーブの緩急」にスライダーを混ぜるアウトコースが中心。これは「指のかかり具合を確認」する意図が含まれます。
2巡目からは『シュート系ツーシーム』を解禁。大竹や桐敷が『4シームの中に “紛れ込ませている” 球種』を(インコース寄りの)ストライクゾーン内に投じ始めます。
この球種は梅野とバッテリーを組んだ時は投げていないので「カウント球」や「インコース攻めの意識付け」としても効果的。
布石を打たれた結果、3巡目の上林は「外角一辺倒の配球で三振」となったのです。
初回から『実戦初投入の球種』をインコースに投げる先発投手はいない
制球が定まっていないこともある初回の立ち上がりに『実戦初投入の球種(=シュート系ツーシーム)』を要求すると、「死球で1巡分の配球パターンが消滅するリスク」は割に合いません。
だから、1巡目は「中日打線が目付けをしているであろうアウトコースの緩急勝負」を選択し、相手のインコースへの意識が薄れた2巡目から『実戦初投入の球種』を使い始めたのです。
“アウトコースだけを狙っている左打者” に投じる球種として『シュート系ツーシーム』は「安牌」ですし、使い方は何も間違っていません。
ただ、3巡目のボスラーに『シュート系ツーシーム』で死球を与えてしまった後も引きずり続けてしまったことは(門別と坂本の)反省点でしょう。
門別は今回の先発登板で「左打者のインコースにも投げられる」と示した訳ですから、西山秀二氏の評論が的を得るのは次回以降のこと。
次回以降の先発登板で「門別は左打者へのインコースの意識付けをどのタイミングで行うか」が評価項目に加わるのは妥当だと思います。