「リリーフ陣の勝利数はチームの得点力次第」という現実から目を背ける岡田彰布監督

 阪神の岡田監督が「中継ぎの勝ち星が1番大きい」とコメントし、ブルペン陣に奮起を促したと日刊スポーツが報じています。

 しかし、この発言はズレています。リリーフ陣が白星を稼ぐには「同点かビハインドの展開で “打線が” 逆転に成功して逃げ切ること」が必須だからです。

 岡田監督の周囲にいるコーチ陣や取材陣がイエスマンばかりだと『効果の乏しい対処策』を追求することになり、結果が伴わないことは容易に想像できます。

 

阪神は89試合で3失点以内に抑えるも60勝止まり、優勝したヤクルトは72試合で62勝

 岡田監督は「ヤクルトとの差はブルペン陣が記録した勝利数」と分析しているようですが、それは間違いと言わざるを得ません。失点ごとの勝敗数が物語っています。

表: 失点ごとの勝敗(2022年)
阪神 ヤクルト
無失点 20勝 16勝
1失点 21勝8敗 13勝1敗
2失点 11勝1分6敗 20勝4敗
3失点 8勝3分15敗 13勝2分9敗
4失点 2勝13敗 9勝9敗
5失点以上 6勝29敗 9勝36敗
  • 3失点以内に抑えた試合数(2022年)
    • 阪神: 89試合
    • ヤクルト: 76試合
  • 3失点以内に抑えた試合での勝利数(2022年)
    • 阪神: 60勝
    • ヤクルト: 62勝

 これを「投手陣の責任」にするのは間違いでしょう。

 2022年の阪神は『3失点』だと8勝3分15敗(勝率 .348)で「3失点目が致命傷になる」ことに対し、ヤクルトは「4失点で踏み留まれれば5割の確率で勝てる」という状況だったからです。

 

同点や1〜2点ビハインドの展開で「どうやって1点を取るか」が鍵

 ちなみに、2022年の阪神は「あと1点が遠いチーム」でもありました。

  • 1点差での敗戦
    • 1-0 での完封負け: 8試合
    • 2-1 での負け: 3試合
    • 3-2 での負け: 6試合

 投手陣が3失点以内に抑えた試合での1点差負けは「得点力不足」を原因とすべきです。

 岡田監督は「卓越した戦術眼に基づく的確な采配」が一部メディアや記者に高く評価されているため、前任の矢野監督とは異なる結果を成績で示してくれることでしょう。

 

 先発投手が勝ち投手の権利を得られなかった場合にリリーフ陣に白星が転がり込む可能性があるのです。「ブルペン陣の勝利数」で投手陣の成績を評価しようとする方針は取り入れるべきではありません。